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杜子春

王朝百科·作者佚名  2010-07-16
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杜子春,东汉明帝时人。年且九十,家于南山。《太学》云:如《周礼》一书,当永平初年,唯有河南缑氏杜子春能通其句读,颇识其说。郑众、贾逵往受业焉。贾逵洪雅博闻,又以经书转相证明为解,逵解遂行与世。

《玄怪录》中的杜子春《玄怪录》卷首载:杜子春者,周(北周)、隋间人。少落魄,不事家产,然以心气闲纵,嗜酒邪游。资 产荡尽,投于亲故,皆以不事事之故见弃。方冬,衣破腹空,徒行长安中,日晚 未食,彷徨不知所往,于东市西门,饥寒之色可掬,仰天长吁。有一老人策杖于 前,问曰:“君子何叹?”子春言其心,且愤其亲戚疏薄也。感激之气,发于颜 色。老人曰:“几缗则丰用?”子春曰:“三五万则可以活矣。”老人曰:“未 也,更言之。”“十万。”曰:“未也。”乃言:“百万。”曰:“未也。”曰: “三百万。”乃曰:“可矣。”于是袖出一缗,曰:“给子今夕,明日午时俟子 于西市波斯邸,慎无后期。”及时,子春往,老人果与钱三百万,不告姓名而去。

子春既富,荡心复炽。自以为终身不复羁旅也,乘肥衣轻,会酒徒,徵丝竹 歌舞于倡楼,不复以治生为意。一二年间,稍稍而尽。衣服车马,易贵从贱,去 马而驴,去驴而徒,倏忽如初。既而复无计,自叹于市门。发声而老人到,握其 手曰:“君复如此,奇哉!吾将复济子,几缗方可?”子春惭不对,老人因逼之, 子春愧谢而已。老人曰:“明日午时,来前期处。”子春忍愧而往,得钱一千万。 未受之初,愤发以为从此谋生,石季伦、猗顿小竖耳。钱既入手,心又翻然,纵 适之情,又却如故。不三四年间,贫过旧日。复遇老人于故处,子春不胜其愧, 掩面而走,老人牵裾止之,曰:“嗟乎!拙谋也。”因与三千万,曰:“此而不 痊,则子贫在膏肓矣。”子春曰:“吾落魄邪游,生涯罄尽。亲戚豪族,无相顾 者,独此叟三给我,我何以当之?”因谓老人曰“吾得此,人间之事可以立,孤 孀可以衣食,于名教复圆矣。感叟深惠,立事之后,唯叟所使。”老人曰:“吾 心也。子治生毕,来岁中元,见我于老君双桧下。”子春以孤孀多寓淮南,遂转 资扬州,买良田百顷,郭中起甲第,要路置邸百余间,悉召孤孀分居第中,婚嫁 甥侄,迁祔旅榇,恩者煦之,仇者复之。既毕事,及期而往。

老人者方啸于二桧之阴,遂与登华山云台峰。入四十里余,见一居处,室屋 严洁,非常人居。彩云遥覆,鸾鹤飞翔,其上有正堂,中有药炉,高九尺余,紫 焰光发,灼焕窗户。玉女九人环炉而立,青龙白虎,分据前后。其时日将暮,老 人者不复俗衣,乃黄冠绛帔士也。持白石三丸,酒一卮遗子春,令速食之讫。取 一虎皮铺于内西壁,东向而坐,戒曰:“慎勿语,虽尊神、恶鬼、夜叉、猛兽、 地狱,及君之亲属为所囚缚,万苦皆非真实,但当不动不语耳,安心莫惧,终无 所苦。当一心念吾所言。”言讫而去。子春视庭,唯一巨瓮,满中贮水而已。

道士适去,而旌旗戈甲,千乘万骑,遍满崖谷来,呵叱之声动天,有一人称 大将军,身长丈余,人马皆着金甲,光芒射人。亲卫数百人,拔剑张弓,直入堂 前,呵曰:“汝是何人,敢不避大将军!”左右竦剑而前,逼问姓名,又问作何 物,皆不对。问者大怒,催斩,争射之,声如雷,竟不应。将军者拗怒而去。俄 而猛虎、毒龙、狻猊、狮子、腹蛇万计,哮吼拿攫而争前,欲搏噬,或跳过其上。 子春神色不动。有顷而散。既而大雨滂澍,雷电晦暝,火轮走其左右,电光掣其 前后,目不得开。须臾,庭际水深丈余,流电吼雷,势若山川开破,不可制止, 瞬息之间,波及坐下。子春端坐不顾。未顷而散。将军者复来,引牛头狱卒,奇 貌鬼神,将大镬汤而置子春前,长枪刃叉,四面周匝,传命曰:“肯言姓名即放, 不肯言,即当心叉取置之镬中。”又不应。因执其妻来,捽于阶下,指曰:“言 姓名免之。”又不应。乃鞭捶流血,或射或斫,或煮或烧,苦不可忍。其妻号哭 曰:“诚为陋拙,有辱君子。然幸得执巾栉,奉事十余年矣,今为尊鬼所执,不 胜其苦。不敢望君匍匐拜乞,望君一言,即全性命矣。人谁无情,君乃忍惜一言。” 雨泪庭中,且咒且骂,子春终不顾。将军曰:“吾不能毒汝妻耶?”令取锉碓, 从脚寸寸锉之。妻叫哭愈急,竟不顾之。将军曰:“此贼妖术已成,不可使久 在世间。”敕左右斩之。

斩讫,魂魄被领见阎罗王,王曰:“此乃云台峰妖民乎?”促付狱中,于是 熔铜、铁杖、碓捣、硙磨、火坑、镬汤、刀山、剑林之苦,无不备尝。然心念道 士之言,亦似可忍,竟不呻吟。狱卒告受罪毕,王曰:“此人阴贼,不合得作男 身,宜令作女人。”配生宋州单父县丞王勤家,生而多病,针灸医药之苦,略无 停日。亦尝坠火堕床,痛苦不济,终不失声。俄而长大,容色绝代,而口无声, 其家目为哑女,亲戚相狎,侮之万端,终不能对。同乡有进士卢珪者,闻者容而 慕之,因媒氏求焉。其家以哑辞之,卢曰:“苟为妻而贤,何用言矣,亦足以戒长舌之妇。”乃许之。卢生备礼亲迎为妻,数年,恩情甚笃,生一男,仅二岁, 聪慧无敌。卢抱儿与之言,不应。多方引之,终无辞。卢大怒曰:“昔贾大夫之 妻鄙其夫才不笑尔。然观其射雉,尚释其憾。今吾陋不及贾,而文艺非徒射雉也, 而竟不言。大丈夫为妻所鄙,安用其子!”乃持两足,以头扑于石上,应手而卒, 血溅数步。子春爱生于心,忽忘其约,不觉失声云:“噫!”

“噫”声未息,身坐故处,道士者亦在其前,初五更矣。其紫焰穿屋上天, 火起四舍,屋室俱焚。道士叹曰:“措大误余乃如是!”因提其髻投水瓮中。未 顷火息。道士前曰:“出。吾子之心,喜怒哀惧恶欲,皆能忘也。所未臻者,爱 而已。向使子无‘噫’声,吾之药成,子亦上仙矣。嗟乎,仙才之难得也!吾药 可重炼,而子之身犹为世界所容矣。勉之哉!”遥指路使归。子春强登基观焉, 其炉已坏,中有铁柱大如臂,长数尺。道士脱衣,以刀子削之。

子春既归,愧其忘誓,复自效以谢其过,行至云台峰,绝无人迹,叹恨而归。

芥川龙之介 《杜子春》谈到近代文学、不能不说起芥川龙之介。

在芥川龙之介的小说中、直接从中国的历史小说中取材、或者直接以中国作为写作背景的作品很多。这些作品在他一生的创作中占了很重要的地位。

芥川龙之介的小说《杜子春》是从中国唐代的同名故事取材而来的。

唐代小说《杜子春传》是李复言所著的神仙小说。是反映封建时代的制约的说教小说。尝试着翻译成了日语,作为参考资料付在论文最后。

芥川的《杜子春》写于1920年。是对孩子具有教育意义的童话。

比较之下、两篇小说的写作表现方法和想要表达的主题都有很大的不同。

芥川以原著为基础、加入了日本的现实情况和自己的认识、挖掘出了新的意味。得出了与原著有完全不同的结论。

在芥川所写的《杜子春》中、有很多的场景都与原著不同。这不仅与芥川的家庭背景有关系、当然、还与《杜子春》的体裁和作者的人生态度有关。

在原著中、人类所有痛苦的来源就是人的感情。提倡应该舍弃对爱的执着。

但是、芥川在自己的作品中高举爱的旗帜、热情的歌颂爱的伟大。

在这篇论文中、围绕着两篇小说不同的地方、对芥川的家庭背景、人生态度以及《杜子春》的体裁以及这些对作品的影响进行分析讨论。原文底本:

蜘蛛の糸・杜子春

出版社:

新潮文库、新潮社

初版発行日:

1968(昭和43)年11月15日

入力に使用:

1989(平成元)年5月30日46刷

校正に使用:

2004(平成16)年6月5日67刷

或(ある)春の日暮です。

唐(とう)の都洛阳(らくよう)の西の门の下に、ぼんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました。

若者は名を杜子春といって、元は金持の息子でしたが、今は财产を费(つか)い尽して、その日の暮しにも困る位、怜(あわれ)な身分になっているのです。

何しろその顷洛阳といえば、天下に并ぶもののない、繁昌(はんじょう)を极(きわ)めた都ですから、往来にはまだしっきりなく、人や车が通っていました。门一ぱいに当っている、油のような夕日の光の中に、老人のかぶった纱(しゃ)の帽子や、土耳古(トルコ)の女の金の耳环(みみわ)や、白马(しろうま)に饰った色糸の手纲(たづな)が、绝えず流れて行く容子(ようす)は、まるで画のような美しさです。

しかし杜子春は相変らず、门の壁に身を凭(もた)せて、ぼんやり空ばかり眺(なが)めていました。空には、もう细い月が、うらうらと靡(なび)いた霞(かすみ)の中に、まるで爪の痕(あと)かと思う程、かすかに白く浮んでいるのです。

「日は暮れるし、腹は减るし、その上もうどこへ行っても、泊めてくれる所はなさそうだし――こんな思いをして生きている位なら、一そ川へでも身を投げて、死んでしまった方がましかも知れない」

杜子春はひとりさっきから、こんな取りとめもないことを思いめぐらしていたのです。

するとどこからやって来たか、突然彼の前へ足を止めた、片目眇(すがめ)の老人があります。それが夕日の光を浴びて、大きな影を门へ落すと、じっと杜子春の颜を见ながら、

「お前は何を考えているのだ」と、横柄に声をかけました。

「私(わたし)ですか。私は今夜寝る所もないので、どうしたものかと考えているのです」

老人の寻ね方が急でしたから、杜子春はさすがに眼を伏せて、思わず正直な答をしました。

「そうか。それは可哀そうだな」

老人は暂(しばら)く何事か考えているようでしたが、やがて、往来にさしている夕日の光を指さしながら、

「ではおれが好(い)いことを一つ教えてやろう。今この夕日の中に立って、お前の影が地に映ったら、その头に当る所を夜中(よなか)に掘って见るが好い。きっと车に一ぱいの黄金(おうごん)が埋(う)まっている筈(はず)だから」

「ほんとうですか」

杜子春は惊いて、伏せていた眼を挙(あ)げました。ところが更に不思议なことには、あの老人はどこへ行ったか、もうあたりにはそれらしい、影も形も见当りません。その代り空の月の色は前よりも犹(なお)白くなって、休みない往来の人通りの上には、もう気の早い蝙蝠(こうもり)が二三匹ひらひら舞っていました。

杜子春は一日の内に、洛阳の都でも唯(ただ)一人という大金持になりました。あの老人の言叶通り、夕日に影を映して见て、その头に当る所を、夜中にそっと掘って见たら、大きな车にも余る位、黄金が一山出て来たのです。

大金持になった杜子春は、すぐに立派な家(うち)を买って、玄宗(げんそう)皇帝にも负けない位、赘沢(ぜいたく)な暮しをし始めました。兰陵(らんりょう)の酒を买わせるやら、桂州(けいしゅう)の竜眼肉(りゅうがんにく)をとりよせるやら、日に四度(よたび)色の変る牡丹(ぼたん)を庭に植えさせるやら、白孔雀(しろくじゃく)を何羽も放し饲いにするやら、玉を集めるやら、锦(にしき)を缝わせるやら、香木(こうぼく)の车を造らせるやら、象牙(ぞうげ)の椅子を誂(あつら)えるやら、その赘沢を一々书いていては、いつになってもこの话がおしまいにならない位です。

するとこういう噂(うわさ)を闻いて、今までは路(みち)で行き合っても、挨拶(あいさつ)さえしなかった友だちなどが、朝夕游びにやって来ました。それも一日毎(ごと)に数が増して、半年ばかり経(た)つ内には、洛阳の都に名を知られた才子や美人が多い中で、杜子春の家へ来ないものは、一人もない位になってしまったのです。杜子春はこの御客たちを相手に、毎日酒盛りを开きました。その酒盛りの又盛(さかん)なことは、中々(なかなか)口には尽されません。极(ごく)かいつまんだだけをお话しても、杜子春が金の杯(さかずき)に西洋から来た葡萄酒(ぶどうしゅ)を汲(く)んで、天竺(てんじく)生れの魔法使が刀を呑(の)んで见せる芸に见とれていると、そのまわりには二十人の女たちが、十人は翡翠(ひすい)の莲(はす)の花を、十人は玛瑙(めのう)の牡丹の花を、いずれも髪に饰りながら、笛や琴を节(ふし)面白く奏しているという景色なのです。

しかしいくら大金持でも、御金には际限がありますから、さすがに赘沢家の杜子春も、一年二年と経つ内には、だんだん贫乏になり出しました。そうすると人间は薄情なもので、昨日(きのう)までは毎日来た友だちも、今日は门の前を通ってさえ、挨拶一つして行きません。ましてとうとう三年目の春、又杜子春が以前の通り、一文无しになって见ると、広い洛阳の都の中にも、彼に宿を贷そうという家は、一轩もなくなってしまいました。いや、宿を贷すどころか、今では椀(わん)に一杯の水も、恵んでくれるものはないのです。

そこで彼は或日の夕方、もう一度あの洛阳の西の门の下へ行って、ぼんやり空を眺めながら、途方に暮れて立っていました。するとやはり昔のように、片目眇(すがめ)の老人が、どこからか姿を现して、

「お前は何を考えているのだ」と、声をかけるではありませんか。

杜子春は老人の颜を见ると、耻しそうに下を向いたまま、暂くは返事もしませんでした。が、老人はその日も亲切そうに、同じ言叶を缲返しますから、こちらも前と同じように、

「私は今夜寝る所もないので、どうしたものかと考えているのです」と、恐る恐る返事をしました。

「そうか。それは可哀そうだな。ではおれが好(い)いことを一つ教えてやろう。今この夕日の中へ立って、お前の影が地に映ったら、その胸に当る所を、夜中に掘って见るが好い。きっと车に一ぱいの黄金が埋まっている筈だから」

老人はこう言ったと思うと、今度もまた人ごみの中へ、掻(か)き消すように隠れてしまいました。

杜子春はその翌日から、忽(たちま)ち天下第一の大金持に返りました。と同时に相変らず、仕放题な赘沢をし始めました。庭に咲いている牡丹の花、その中に眠っている白孔雀、それから刀を呑んで见せる、天竺から来た魔法使――すべてが昔の通りなのです。

ですから车に一ぱいにあった、あの夥(おびただ)しい黄金も、又三年ばかり経つ内には、すっかりなくなってしまいました。

「お前は何を考えているのだ」

片目眇(すがめ)の老人は、三度杜子春(どとししゅん)の前へ来て、同じことを问いかけました。勿论(もちろん)彼はその时も、洛阳の西の门の下に、ほそぼそと霞を破っている三日月の光を眺めながら、ぼんやり伫(たたず)んでいたのです。

「私ですか。私は今夜寝る所もないので、どうしようかと思っているのです」

「そうか。それは可哀そうだな。ではおれが好いことを教えてやろう。今この夕日の中へ立って、お前の影が地に映ったら、その腹に当る所を、夜中に掘って见るが好い。きっと车に一ぱいの――」

老人がここまで言いかけると、杜子春は急に手を挙げて、その言叶を遮(さえぎ)りました。

「いや、お金はもういらないのです」

「金はもういらない?ははあ、では赘沢をするにはとうとう饱きてしまったと见えるな」

老人は审(いぶか)しそうな眼つきをしながら、じっと杜子春の颜を见つめました。

「何、赘沢に饱きたのじゃありません。人间というものに爱想(あいそ)がつきたのです」

杜子春は不平そうな颜をしながら、突悭贪(つっけんどん)にこう言いました。

「それは面白いな。どうして又人间に爱想が尽きたのだ?」

「人间は皆薄情です。私が大金持になった时には、世辞も追従(ついしょう)もしますけれど、一旦贫乏になって御覧なさい。柔(やさ)しい颜さえもして见せはしません。そんなことを考えると、たといもう一度大金持になったところが、何にもならないような気がするのです」

老人は杜子春の言叶を闻くと、急ににやにや笑い出しました。

「そうか。いや、お前は若い者に似合わず、感心に物のわかる男だ。ではこれからは贫乏をしても、安らかに暮して行くつもりか」

杜子春はちょいとためらいました。が、すぐに思い切った眼を挙げると、诉えるように老人の颜を见ながら、

「それも今の私には出来ません。ですから私はあなたの弟子(でし)になって、仙术(せんじゅつ)の修业をしたいと思うのです。いいえ、隠してはいけません。あなたは道徳の高い仙人でしょう。仙人でなければ、一夜(ひとよ)の内に私を天下第一の大金持にすることは出来ない筈です。どうか私の先生になって、不思议な仙术を教えて下さい」

老人は眉(まゆ)をひそめたまま、暂くは黙って、何事か考えているようでしたが、やがて又にっこり笑いながら、

「いかにもおれは峨眉山(がびさん)に栖(す)んでいる、鉄冠子(てっかんし)という仙人だ。始めお前の颜を见た时、どこか物わかりが好さそうだったから、二度まで大金持にしてやったのだが、それ程仙人になりたければ、おれの弟子にとり立ててやろう」と、快く愿(ねがい)を容(い)れてくれました。

杜子春は喜んだの、喜ばないのではありません。老人の言叶がまだ终らない内に、彼は大地に额をつけて、何度も鉄冠子に御时宜(おじぎ)をしました。

「いや、そう御礼などは言って贳うまい。いくらおれの弟子にしたところが、立派な仙人になれるかなれないかは、お前次第で决まることだからな。――が、ともかくもまずおれと一しょに、峨眉山の奥へ来て见るが好(い)い。おお、幸(さいわい)、ここに竹杖(たけづえ)が一本落ちている。では早速これへ乗って、一飞びに空を渡るとしよう」

鉄冠子はそこにあった青竹を一本拾い上げると、口の中(うち)に咒文(じゅもん)を唱えながら、杜子春と一しょにその竹へ、马にでも乗るように跨(またが)りました。すると不思议ではありませんか。竹杖は忽ち竜のように、势(いきおい)よく大空へ舞い上って、晴れ渡った春の夕空を峨眉山の方角へ飞んで行きました。

杜子春は胆(きも)をつぶしながら、恐る恐る下を见下しました。が、下には唯青い山々が夕明(ゆうあか)りの底に见えるばかりで、あの洛阳の都の西の门は、(とうに霞に纷れたのでしょう)どこを探しても见当りません。その内に鉄冠子は、白い鬓(びん)の毛を风に吹かせて、高らかに歌を唱(うた)い出しました。

朝(あした)に北海に游び、暮(くれ)には苍梧(そうご)。

袖裏(しゅうり)の青蛇(せいだ)、胆気粗(たんきそ)なり。

三たび岳阳に入れども、人识(し)らず。

朗吟して、飞过(ひか)す洞庭湖(どうていこ)。

二人を乗せた青竹は、间もなく峨眉山へ舞い下(さが)りました。

そこは深い谷に临んだ、幅の広い一枚岩の上でしたが、よくよく高い所だと见えて、中空(なかぞら)に垂れた北斗の星が、茶碗(ちゃわん)程の大きさに光っていました。元より人迹(じんせき)の绝えた山ですから、あたりはしんと静まり返って、やっと耳にはいるものは、後(うしろ)の绝壁に生(は)えている、曲りくねった一株の松が、こうこうと夜风に鸣る音だけです。

二人がこの岩の上に来ると、鉄冠子は杜子春を绝壁の下に坐らせて、

「おれはこれから天上へ行って、西王母(せいおうぼ)に御眼にかかって来るから、お前はその间ここに坐って、おれの帰るのを待っているが好(い)い。多分おれがいなくなると、いろいろな魔性(ましょう)が现れて、お前をたぶらかそうとするだろうが、たといどんなことが起ろうとも、决して声を出すのではないぞ。もし一言(ひとこと)でも口を利(き)いたら、お前は到底仙人にはなれないものだと覚悟をしろ。好(い)いか。天地が裂けても、黙っているのだぞ」と言いました。

「大丈夫です。决して声なぞは出しません。命がなくなっても、黙っています」

「そうか。それを闻いて、おれも安心した。ではおれは行って来るから」

老人は杜子春に别れを告げると、又あの竹杖に跨って、夜目にも削ったような山々の空へ、一文字に消えてしまいました。

杜子春はたった一人、岩の上に坐ったまま、静(しずか)に星を眺めていました。するとかれこれ半时(はんとき)ばかり経って、深山の夜気が肌寒く薄い着物に透(とお)り出した顷、突然空中に声があって、

「そこにいるのは何者だ」と、叱りつけるではありませんか。

しかし杜子春は仙人の教(おしえ)通り、何とも返事をしずにいました。

ところが又暂くすると、やはり同じ声が响いて、

「返事をしないと立ちどころに、命はないものと覚悟しろ」と、いかめしく吓(おど)しつけるのです。

杜子春は勿论黙っていました。

と、どこから登って来たか、烂々(らんらん)と眼を光らせた虎(とら)が一匹、忽然(こつぜん)と岩の上に跃(のぼ)り上って、杜子春の姿を睨(にら)みながら、一声高く哮(たけ)りました。のみならずそれと同时に、头の上の松の枝が、烈(はげ)しくざわざわ揺れたと思うと、後(うしろ)の绝壁の顶からは、四斗樽(しとだる)程の白蛇(はくだ)が一匹、炎のような舌を吐いて、见る见る近くへ下りて来るのです。

杜子春はしかし平然と、眉毛(まゆげ)も动かさずに坐っていました。

虎と蛇とは、一つ饵食(えじき)を狙(ねら)って、互に隙(すき)でも窥(うかが)うのか、暂くは睨合いの体(てい)でしたが、やがてどちらが先ともなく、一时に杜子春に飞びかかりました。が虎の牙(きば)に噛(か)まれるか、蛇の舌に呑(の)まれるか、杜子春の命は瞬(またた)く内に、なくなってしまうと思った时、虎と蛇とは雾の如く、夜风と共に消え失(う)せて、後には唯、绝壁の松が、さっきの通りこうこうと枝を鸣らしているばかりなのです。杜子春はほっと一息しながら、今度はどんなことが起るかと、心待ちに待っていました。

すると一阵の风が吹き起って、墨のような黒云が一面にあたりをとざすや否や、うす紫の稲妻がやにわに闇を二つに裂いて、凄(すさま)じく雷(らい)が鸣り出しました。いや、雷ばかりではありません。それと一しょに瀑(たき)のような雨も、いきなりどうどうと降り出したのです。杜子春はこの天変の中(なか)に、恐れ気(げ)もなく坐っていました。风の音、雨のしぶき、それから绝え间ない稲妻の光、――暂くはさすがの峨眉山も、覆(くつがえ)るかと思う位でしたが、その内に耳をもつんざく程、大きな雷鸣が轰(とどろ)いたと思うと、空に涡(うず)巻いた黒云の中から、まっ赤な一本の火柱が、杜子春の头へ落ちかかりました。

杜子春は思わず耳を抑えて、一枚岩の上へひれ伏しました。が、すぐに眼を开いて见ると、空は以前の通り晴れ渡って、向うに耸(そび)えた山々の上にも、茶碗ほどの北斗の星が、やはりきらきら辉いています。して见れば今の大あらしも、あの虎や白蛇と同じように、鉄冠子の留守をつけこんだ、魔性の悪戯(いたずら)に违いありません。杜子春は渐(ようや)く安心して、额の冷汗(ひやあせ)を拭(ぬぐ)いながら、又岩の上に坐り直しました。

が、そのため息がまだ消えない内に、今度は彼の坐っている前へ、金の铠(よろい)を着下(きくだ)した、身の丈(たけ)三丈もあろうという、厳(おごそ)かな神将が现れました。神将は手に三叉(みつまた)の戟(ほこ)を持っていましたが、いきなりその戟の切先(きっさき)を杜子春の胸(むな)もとへ向けながら、眼を嗔(いか)らせて叱りつけるのを闻けば、

「こら、その方は一体何物だ。この峨眉山という山は、天地开辟(かいびゃく)の昔から、おれが住居(すまい)をしている所だぞ。それも惮(はばか)らずたった一人、ここへ足を踏み入れるとは、よもや唯の人间ではあるまい。さあ命が惜しかったら、一刻も早く返答しろ」と言うのです。

しかし杜子春は老人の言叶通り、黙然(もくねん)と口を噤(つぐ)んでいました。

「返事をしないか。――しないな。好し。しなければ、しないで胜手にしろ。その代りおれの眷属(けんぞく)たちが、その方をずたずたに斩(き)ってしまうぞ」

神将は戟を高く挙げて、向うの山の空を招きました。その途端に闇がさっと裂けると、惊いたことには无数の神兵が、云の如く空に充満(みちみ)ちて、それが皆枪(やり)や刀をきらめかせながら、今にもここへ一なだれに攻め寄せようとしているのです。

この景色を见た杜子春は、思わずあっと叫びそうにしましたが、すぐに又鉄冠子の言叶を思い出して、一生悬命に黙っていました。神将は彼が恐れないのを见ると、怒(おこ)ったの怒らないのではありません。

「この刚情者め。どうしても返事をしなければ、约束通り命はとってやるぞ」

神将はこう唤(わめ)くが早いか、三叉の戟を闪(ひらめ)かせて、一突きに杜子春を突き杀しました。そうして峨眉山もどよむ程、からからと高く笑いながら、どこともなく消えてしまいました。勿论この时はもう无数の神兵も、吹き渡る夜风の音と一しょに、梦のように消え失せた後だったのです。

北斗の星は又寒そうに、一枚岩の上を照らし始めました。绝壁の松も前に変らず、こうこうと枝を鸣らせています。が、杜子春はとうに息が绝えて、仰向(あおむ)けにそこへ倒れていました。

杜子春の体は岩の上へ、仰向けに倒れていましたが、杜子春の魂は、静に体から抜け出して、地狱の底へ下りて行きました。

この世と地狱との间には、闇穴道(あんけつどう)という道があって、そこは年中暗い空に、氷のような冷たい风がぴゅうぴゅう吹き荒(すさ)んでいるのです。杜子春はその风に吹かれながら、暂くは唯木(こ)の叶のように、空を漂って行きましたが、やがて森罗殿(しんらでん)という额(がく)の悬(かか)った立派な御殿の前へ出ました。

御殿の前にいた大势の鬼は、杜子春の姿を见るや否や、すぐにそのまわりを取り卷(ま)いて、阶(きざはし)の前へ引き据えました。阶の上には一人の王様が、まっ黒な袍(きもの)に金の冠をかぶって、いかめしくあたりを睨んでいます。これは兼ねて噂(うわさ)に闻いた、阎魔(えんま)大王に违いありません。杜子春はどうなることかと思いながら、恐る恐るそこへ跪(ひざまず)いていました。

「こら、その方は何の为(ため)に、峨眉山の上へ坐っていた?」

阎魔大王の声は雷(らい)のように、阶の上から响きました。杜子春は早速その问に答えようとしましたが、ふと又思い出したのは、「决して口を利(き)くな」という鉄冠子の戒(いまし)めの言叶です。そこで唯头(かしら)を垂れたまま、唖(おし)のように黙っていました。すると阎魔大王は、持っていた鉄の笏(しゃく)を挙げて、颜中の须(ひげ)を逆立てながら、

「その方はここをどこだと思う?速(すみやか)に返答をすれば好し、さもなければ时を移さず、地狱の呵责(かしゃく)に遇(あ)わせてくれるぞ」と、威丈高(いたけだか)に骂(ののし)りました。

が、杜子春は相変らず唇(くちびる)一つ动かしません。それを见た阎魔大王は、すぐに鬼どもの方を向いて、荒々しく何か言いつけると、鬼どもは一度に畏(かしこま)って、忽(たちま)ち杜子春を引き立てながら、森罗殿の空へ舞い上りました。

地狱には谁でも知っている通り、剣(つるぎ)の山や血の池の外にも、焦热地狱という焔(ほのお)の谷や极寒(ごくかん)地狱という氷の海が、真暗な空の下に并んでいます。鬼どもはそういう地狱の中へ、代る代る杜子春を抛(ほう)りこみました。ですから杜子春は无残にも、剣に胸を贯かれるやら、焔に颜を焼かれるやら、舌を抜かれるやら、皮を剥(は)がれるやら、鉄の杵(きね)に撞(つ)かれるやら、油の锅(なべ)に煮られるやら、毒蛇に脳味噌(のうみそ)を吸われるやら、熊鹰(くまたか)に眼を食われるやら、――その苦しみを数え立てていては、到底际限がない位、あらゆる责苦(せめく)に遇(あ)わされたのです。それでも杜子春は我慢强く、じっと歯を食いしばったまま、一言(ひとこと)も口を利きませんでした。

これにはさすがの鬼どもも、呆(あき)れ返ってしまったのでしょう。もう一度夜(よる)のような空を飞んで、森罗殿の前へ帰って来ると、さっきの通り杜子春を阶(きざはし)の下に引き据えながら、御殿の上の阎魔大王に、

「この罪人はどうしても、ものを言う気色(けしき)がございません」と、口を揃(そろ)えて言上(ごんじょう)しました。

阎魔大王は眉をひそめて、暂く思案に暮れていましたが、やがて何か思いついたと见えて、

「この男の父母(ちちはは)は、畜生道(ちくしょうどう)に落ちている筈だから、早速ここへ引き立てて来い」と、一匹の鬼に言いつけました。

鬼は忽ち风に乗って、地狱の空へ舞い上りました。と思うと、又星が流れるように、二匹の獣(けもの)を駆り立てながら、さっと森罗殿の前へ下りて来ました。その獣を见た杜子春は、惊いたの惊かないのではありません。なぜかといえばそれは二匹とも、形は见すぼらしい痩(や)せ马でしたが、颜は梦にも忘れない、死んだ父母の通りでしたから。

「こら、その方は何のために、峨眉山の上に坐っていたか、まっすぐに白状しなければ、今度はその方の父母に痛い思いをさせてやるぞ」

杜子春はこう吓(おど)されても、やはり返答をしずにいました。

「この不孝者めが。その方は父母が苦しんでも、その方さえ都合が好ければ、好(い)いと思っているのだな」

阎魔大王は森罗殿も崩(くず)れる程、凄(すさま)じい声で唤(わめ)きました。

「打て。鬼ども。その二匹の畜生を、肉も骨も打ち砕いてしまえ」

鬼どもは一斉に「はっ」と答えながら、鉄の鞭(むち)をとって立ち上ると、四方八方から二匹の马を、未练未釈(みしゃく)なく打ちのめしました。鞭はりゅうりゅうと风を切って、所嫌(きら)わず雨のように、马の皮肉を打ち破るのです。马は、――畜生になった父母は、苦しそうに身を闷(もだ)えて、眼には血の涙を浮べたまま、见てもいられない程嘶(いなな)き立てました。

「どうだ。まだその方は白状しないか」

阎魔大王は鬼どもに、暂く鞭の手をやめさせて、もう一度杜子春の答を促しました。もうその时には二匹の马も、肉は裂け骨は砕けて、息も绝え绝えに阶(きざはし)の前へ、倒れ伏していたのです。

杜子春は必死になって、鉄冠子の言叶を思い出しながら、紧(かた)く眼をつぶっていました。するとその时彼の耳には、殆(ほとんど)声とはいえない位、かすかな声が伝わって来ました。

「心配をおしでない。私たちはどうなっても、お前さえ仕合せになれるのなら、それより结构なことはないのだからね。大王が何と仰(おっしゃ)っても、言いたくないことは黙って御出(おい)で」

それは确(たしか)に懐しい、母亲の声に违いありません。杜子春は思わず、眼をあきました。そうして马の一匹が、力なく地上に倒れたまま、悲しそうに彼の颜へ、じっと眼をやっているのを见ました。母亲はこんな苦しみの中にも、息子の心を思いやって、鬼どもの鞭に打たれたことを、怨(うら)む気色(けしき)さえも见せないのです。大金持になれば御世辞を言い、贫乏人になれば口も利かない世间の人たちに比べると、何という有难い志でしょう。何という健気(けなげ)な决心でしょう。杜子春は老人の戒めも忘れて、転(まろ)ぶようにその侧へ走りよると、両手に半死の马の颈(くび)を抱いて、はらはらと涙を落しながら、「お母(っか)さん」と一声を叫びました。…………

その声に気がついて见ると、杜子春はやはり夕日を浴びて、洛阳の西の门の下に、ぼんやり伫(たたず)んでいるのでした。霞んだ空、白い三日月、绝え间ない人や车の波、――すべてがまだ峨眉山へ、行かない前と同じことです。

「どうだな。おれの弟子になったところが、とても仙人にはなれはすまい」

片目眇(すがめ)の老人は微笑を含みながら言いました。

「なれません。なれませんが、しかし私(わたし)はなれなかったことも、反(かえ)って嬉しい気がするのです」

杜子春はまだ眼に涙を浮べたまま、思わず老人の手を握りました。

「いくら仙人になれたところが、私はあの地狱の森罗殿の前に、鞭を受けている父母を见ては、黙っている訳には行きません」

「もしお前が黙っていたら――」と鉄冠子は急に厳(おごそか)な颜になって、じっと杜子春を见つめました。

「もしお前が黙っていたら、おれは即座にお前の命を绝ってしまおうと思っていたのだ。――お前はもう仙人になりたいという望(のぞみ)も持っていまい。大金持になることは、元より爱想がつきた筈(はず)だ。ではお前はこれから後、何になったら好(い)いと思うな」

「何になっても、人间らしい、正直な暮しをするつもりです」

杜子春の声には今までにない晴れ晴れした调子が罩(こも)っていました。

「その言叶を忘れるなよ。ではおれは今日限り、二度とお前には遇(あ)わないから」

鉄冠子はこう言う内に、もう歩き出していましたが、急に又足を止めて、杜子春の方を振り返ると、

「おお、幸(さいわい)、今思い出したが、おれは泰山(たいざん)の南の麓(ふもと)に一轩の家を持っている。その家を畑ごとお前にやるから、早速行って住まうが好い。今顷は丁度家のまわりに、桃の花が一面に咲いているだろう」と、さも愉快そうにつけ加えました。译文某年春天黄昏。唐朝京城洛阳西门下,有个年轻人心不在焉地仰望著天空。

年轻人名叫杜子春,本来是富家弟子,现在因荡尽家财,沦落成过一天算一天的落魄汉。

当时的洛阳,极为昌盛,是个天下无可匹比的京畿,大道上车水马龙,人潮熙来攘往。在如亮油般照映在西门上的夕阳光辉中,可见老人的罗沙帽、土耳其女人的金耳环、装饰在白马上的彩丝羁绳,都在不断流动,那景象美得像一幅画。

但是,杜子春依然将身子靠在西门墙壁上,心不在焉地眺望著天空。天空上,细长的月亮,宛如指甲痕迹,幽白地浮睡在缭绕的雾霭中。

“天暗了,肚子也饿了,而且不管到哪里,大概都找不到今晚能容身的地方了……与其这样活著,不如乾脆跳河自杀要快活点吧。”杜子春从刚刚起就一直如此漫无边际地思索著。

然后有个不知从何处冒出来的独眼老人,停顿在他面前。他沐浴著夕阳余辉,将长长的影子刻印在门上,一直凝视著杜子春的脸。

“你在想什么?”老人趾高气扬地问。

“我吗?我在想,今晚没地方睡,不知该怎么办。”由於老人问得很唐突,杜子春不禁俯下眼皮,率直地回答。

“原来如此。那太可怜了。”老人思考了一阵子,然后伸手指著映射在大道上的夕阳余辉道:

“那么我告诉你一件好事。如果你现在站在夕阳中发现地上能照映出你的影子,今晚半夜时就挖挖你影子的头部地方。一定会有满车的黄金埋在那里的。”“真的?”杜子春听后大吃一惊,扬起一直俯下著的眼皮。不可思议的是,那老人已不知去向,周遭也不见他的影子。只是,挂在上空的月亮比先前更皓洁,往来不息的行人道上,已有两三只性急的蝙蝠在翩翩飞舞著。

2杜子春在一夜之间,化身为洛阳独一无二的大富翁。因为他真得听从那老人的话,於夜半悄悄挖掘夕阳映照出的影子头部,挖出了一堆比一辆大车更多的黄金。

变成暴发户的杜子春,马上买了一栋豪华的房屋,开始过著不比玄宗皇帝逊色的奢侈生活。买兰陵的美酒啦、桂州的龙眼啦、在庭院内栽植日易四色的牡丹啦、饲养几只白孔雀啦、收集宝玉啦、剪裁锦绣啦、制造香木的车子啦、订制象牙椅子啦,若要详细述说他的奢侈,那这个故事是永远都无法结束的。

一些平日在路上遇见也形同陌路人的朋友们,在听闻杜子春致富的消息后,不管朝晚都来找杜子春玩了。而且人数日渐增多,半年过后,所有洛阳闻名的才子与美女,几乎没有一个不是杜子春的座上客。杜子春每天陪著这些客人举行盛宴,而且酒宴盛大得无可比拟。随便举个例子来说,当杜子春在金杯斟满来自西洋的葡萄酒,出神观看著印度魔术师表演吞刀特技时,他身边就环绕著有二十个女人,其中十个在发上插饰著翡翠莲花,十个在发上插饰著玛瑙牡丹花,吹弹著曲调轻快的笛歌与古筝。

只是,再如何富有的大富翁,金钱总是有止境的,奢华如杜子春者,一年两年过去后,也逐渐开始捉襟见肘起来。等他把钱用尽后,才了解人心的薄情寡义,直至昨天还天天来报到的人,今天路过门前竟也懒得进来打声招呼了。到了第三年春天,当杜子春又恢复成一文不名的穷小子时,广阔的洛阳,竟找不到一家肯让他借宿过夜的人家。别说是借宿,甚至连施舍一杯水的人家都找不到。

於是,某日黄昏,杜子春再度逛到洛阳西门下,呆然地眺望著天空,不知何去何从。

然后那个独眼老人也跟往昔一般,不知从何处又现身出来。

“你在想什么?”杜子春一看到老人,即惭愧地低下头,说不出话来。只是,老人这天也亲切地反覆问了同样的话,他只好又一次诚惶诚恐地答道:

“因为我今天没地方可睡,不知该怎么办?”“原来如此,那太可怜了。那么我告诉你一个好办法。现在你站到夕阳下,若你的影子映照在地上,你便趁著夜间挖掘影子胸部的地方,那里一定埋藏有满车子的黄金。”

老人说完,又瞬间消失在人潮中。

翌日,杜子春又於一夜之间变成洛阳独一无二的大富翁。同时也开始过他为所欲为的奢华日子。种植在庭院的牡丹花、沉睡在牡丹花中的白孔雀、来自印度会表演吞刀的魔术师……一切如从往昔。

因此他挖掘出的那些满车数不尽的黄金,经过三年后,便荡然无存了。

3“你在想什么?”独眼老人第三次来到杜子春面前,又向他发出同样的问话。此时的杜子春,当然又是呆呆伫立在西门下,眺望著幽幽穿射晚霞的月牙。

“我吗?我今晚没地方可睡,正在想著该怎么办?”“原来如此,那真是可怜。那么我告诉你一个好办法。现在你站到夕阳下,若你的影子映照在地上,你便趁著夜间挖掘影子肚子的地方,那一定埋藏有满车子的……”“不,我不要钱了。”“不要钱了?哈哈,那么你已经厌倦奢华日子了?”老人以诧异的眼神,凝视著杜子春。

“不,我不是厌倦了奢华日子,而是厌烦了人这个东西。”杜子春现出愤怒的神色,冷淡地回答。

“有趣!有趣!你为什么厌烦起人了?”“人都是薄情寡意的。当我是个富豪时,他们拼命奉承、阿谀,一旦变得贫穷,连个笑脸都不肯赏。想到这点,即使再度变成富豪,又有什么用呢?”老人听杜子春如此说,忽然嘻嘻笑了起来。

“原来如此。没想到你这么年轻,竟然懂得这些道理。那么,你今后是想安然过著贫穷的生活了?”杜子春踌躇了一会儿。不过,马上断然抬起眼睛,申诉似地望著老人。

“我现在已无法再过贫穷生活了,所以我想做您的徒弟,修行仙术。您不用隐瞒了,您是个道高德隆的神仙吧!如果不是神仙,您绝对不可能让我在一夜之间变成天下第一的富豪的。请您当我的师傅,传授那不可思议的仙术给我吧!”老人颦著眉,像在考虑什么似地,然后莞尔笑著。

“不错,我叫铁冠子,是住在峨嵋山的仙人。最初看到你时,觉得你是个懂道理的人,所以才两次让你成为大富翁。如果你真渴望做仙人,我就收你为徒弟好了。”杜子春当然喜出望外。老人话未说完,即匍匐在地上,向铁冠子叩了几个响头。

“你不用那么道谢。虽然我收你为徒弟,但你能否成为出色的仙人,还在於你自己……总之,你先跟我到峨嵋山深处来再说吧。哦,恰好地上有一根竹杖,咱们现在就骑著这根竹杖飞越天空吧。”铁冠子拾起地上那根青竹,口里念著咒文,和杜子春一起如骑马般跨上那根青竹。

结果真是不可思议,竹杖立即像一条飞龙般,猛烈地冲上天空,翱翔在晴朗的春日夕阳中,一路往峨嵋山方向飞去。

杜子春心惊胆战,畏缩地俯瞰著脚下。只见青色的山峦隐藏在夕阳余辉中,那个洛阳西门(大概早已堙没在晚霞了),已无影无踪了。一会儿,铁冠子让风吹拂著苍白的鬓发,引吭高歌起来。

朝游北海暮苍梧袖里青蛇胆气粗三入岳阳人不识郎吟飞过洞庭湖

4载著两人的青竹,不久飘落在峨嵋山。

青竹落在一块俯临深谷的广阔岩石上,可能高度甚高,悬挂在半空中的北斗星,看起来竟有饭碗般大小,正闪烁著光芒。本来就是人迹罕见的深山,周遭当然静寂无声。唯一幽幽飘入耳里的,是弯弯曲曲生长在岩后悬崖上的一株松树,随著夜风晃动枝叶的沙沙响声。

两人来到岩石上后,铁冠子让杜子春坐在悬崖下,对他说:

“我要上天去拜谒王母,你就坐在这儿等我回来。我不在时,可能会有各种妖怪出现要诱骗你,不过,不管发生什么事,你绝对不能开口说话,只要你开口说一句话,你便不能变成仙人。懂吗?总之不管再如何天崩地裂,你都得保持沉默。”“您放心,我绝对不会出声。即使要我的命,我也会保持沉默的。”“是吗?听你这样说,我就放心了。好,我走了。”

老人跟杜子春告别后,又跨上竹杖,飞向在夜里也能看得出陡峭山峦的上空,笔直消失了。

杜子春独自坐在岩石上,静静地眺望著星空。约莫过了半小时,深山的夜气凉飕飕穿透单薄衣服时,突然上空传来叱骂的声音。

“谁在那里?”不过,杜子春遵从仙人的关照,不开口回答。岂知,不一会儿,又响起同样的声音。

“不回答的话,立即要你的命!”那个声音严厉地恐吓著。

杜子春当然还是沉默著。

刹时,一只不知从何处攀上的老虎,眼光炯炯地跳跃到岩石上,对著杜子春怒目而视,仰头咆哮了一声。不但如此,头上的松枝也同时激烈地左右摇晃,后面悬崖顶上,又出现一条四斗大的白蛇,伸吐著火焰般的红舌,一步步逼近来了。

但,杜子春依然稳如泰山地端坐著。

老虎和蛇,如抢食一个食饵般,彼此窥视、对峙著一会儿。然后,几乎是同时扑上杜子春。就在杜子春不知会被老虎牙撕裂,或被白蛇吞咽,小命即将呜呼哀哉时,老虎和白蛇竟如烟雾一般,随著夜风消失了。之后,只见悬崖上的松树仍和先前一样,摇晃著树枝沙沙作响。杜子春舒了一口气,暗中期盼著再度将会发生的事。

这时,一阵风吹起,如黑墨般的乌云笼罩上空,淡紫色的闪电冷不防撕裂黯夜,雷声隆隆作响。不,不只是雷声,瀑布般的豪雨也同时猛然哗哗倾泻下来。杜子春在这种天崩地裂的处境中,依然面无惧色地端然坐著。风声、飞溅的雨滴、无休无止的闪电光……峨嵋山一时似乎将倾覆了。然后突然响起一阵震耳欲聋的霹雳声,只见一道深红的火柱,从上空的乌云漩涡中笔直落在杜子春的头上。

杜子春不觉堵住耳朵,匍伏在岩石上。但他随即睁开眼睛,发现天空依然晴朗,饭碗大的北斗星,也依然耸峙在前方的山峦上,闪闪发光著。看来,方才的暴风雨,老虎和白蛇,都是些趁铁冠子不在时出来作祟的妖怪罢了。想通后,杜子春这才放心地揩去额上的冷汗,再坐正在岩石上。

只是,就在他嘘声尚未吐完,一个身穿金铠甲、身高足有三丈、神态肃穆的神将又出现在他面前。神将手持三叉利戟,不容分说就将戟尖指向杜子春的胸膛,怒目瞪眼地叱骂著:

“喂!你到底是谁?这个峨嵋山从天地开辟以来,即是我居住的地方。你竟胆敢独自跑到这里,看来你一定不是个普通人物,若不想死,赶快说明原由。”不过,杜子春仍是遵照老人的话,缄口不语。

“不答话……是吧。好,不想答就不答,随你便。可是你要知道我那些众小喽罗是会把你能剁成肉酱的。”神将高举三叉戟,向对面的山峦上空呼唤。刹时,黑暗的夜空裂成两半,无数的神兵如乌云般布满天空,而且手上都闪耀著枪刀,好像即将要嘶杀过来般。

杜子春眼见这个景象,情不自禁想叫出声,但又想起铁冠子的话,只好拼命紧抿著嘴。神将看他纹风不动,大发雷霆。

“你这个顽固的家伙!再不答话,真要你的命了!”神将说时迟那时快,三叉戟一闪,即一刺戳死了杜子春。然后发出连峨嵋山都会摇摇欲坠的朗笑,消失无踪。当然,那些无数的神兵,也随著响彻四周的夜风声,如梦一般消失无踪了。

北斗星又冷森森地映照在岩石上。悬崖上的松树依然摇晃著树枝沙沙作响。但,杜子春早已气绝地仰躺在地上。

5杜子春的身躯虽仰躺在岩石上,可是,他的灵魂却静静地脱离了躯体,降落到地狱底层了。

这个世界与地狱之间,有一条叫做暗穴道的路,那里终年都处於黑暗中,四周刮啸著冰雪一般冷冽的烈风。杜子春如同一片树叶,在烈风中飘飘荡荡,最后飘到一座挂著“森罗殿”横匾的巍峨殿宇。

殿堂前一群鬼喽罗,一见到杜子春,赶忙围住他,把他押到台阶之前。台阶上有个身穿深黑色衣袍、头戴著金王冠的阎罗王,威武地睥睨著四周。杜子春心想,这大概就是那个众所皆知的阎罗王,再想到不知将会遭遇些什么事,只好战战兢兢地跪下来。

“小子,你为什么坐在峨嵋山上?”阎罗王的声音如雷声般,自台阶上传下来。杜子春本想马上开口回答,但又想起“绝对不能开口”这句铁冠子的诫语,只好又低垂著头,哑巴一般缄默著。

阎罗王扬起手中的铁笏,倒竖著脸上的胡须,盛气凌人地怒吼:

“你以为此处是什么地方?快快回答,否则,我就让你立即尝尝地狱的苦刑。”可是,杜子春依然紧抿著嘴。阎罗王见状,转头向众喽罗们粗声厉气吩咐了什么。

众喽罗们站直身子,再一把抓起杜子春,飞往森罗殿的上空。

正如众所皆知一样,地狱里除了刀山与血池外,还有火焰之谷的焦热地狱和冰海的极寒地狱,并排在黝黑的天空下。众喽罗们将杜子春一次又一次地抛往种种地狱里。可怜的杜子春,不但被剑刺穿胸膛、被火焰烧焦脸颊、被拔掉舌头、被剥掉皮、被铁杵捣锤、被放在油锅里炸、被毒蛇吞噬脑浆、被雄鹰啄食双眼……若要一一数说他所遭受的痛苦,那真是不胜枚举,总之,他遭受了所有的痛苦。尽管如此,杜子春依然倔强地咬紧牙根,紧抿著嘴不说一句话。

这使众喽罗们目瞪口呆,哑口无言。於是又一次挟持著杜子春飞过暗夜般的天空,来到森罗殿之前,再把杜子春拖拉到台阶下,向殿堂上的阎罗王齐声奏道:

“这个罪人,无论如何都不肯说话。”阎罗王皱著眉思索片刻,然后灵机一动,吩咐道:

“这个男子的父母一定被判下了畜牲道,你们马上把他们押到这里来。”众喽罗们顿时乘风飞往地狱的上空,然后再如流星般驱赶著两匹兽,降落到森罗殿前。杜子春看到这两匹兽,大吃一惊。因为那虽说是两匹形影寒怆的瘦马,脸孔却是连做梦也忘不了的双亲容貌。

“小子,你为何坐在峨嵋山上?快从实招来!不然,这次就要让你的父母尝尝痛苦的滋味了。”杜子春虽如此被恐吓著,但仍不出声。

“你这个不孝子!你为了自己的立场,就忍心让父母承受痛苦吗?”阎罗王怒声大骂,声音洪亮得森罗殿要崩坍似的。

“打!喽罗们!把这两匹畜牲打得肉烂骨碎!”众喽罗们齐声道“是”,手执铁鞭站起来,毫不容情地从四面八方鞭打起两匹马。铁鞭“嘶”、“嘶”地鸣响著,如雨一般纷纷落在两匹马身上,把马打得皮开肉绽。马……沦落成畜牲的父母,痛苦地扭曲著身子,血泪盈眶,惨不忍睹地嘶叫著。

“怎样?你还不肯招认吗?”阎罗王暂时让众喽罗们停止鞭打,再一次催促杜子春回答。这时,两匹马已经肉烂骨碎,奄奄一息地倒卧在台阶之前。

杜子春紧闭著双眼,拼命想著铁冠子的话。这时他耳边传来微弱的、勉强可听出是声音的唏嘘:

“你不用担心,不管我们会变得怎样,只要你能幸福,那是最好不过的。大王再怎么逼,只要你不愿开口,你就沉默著吧。”这声音,确实是那久违的母亲的声音啊!杜子春情不自禁睁开眼。他看见一匹马无力地倒在地上,悲切地深深凝望著他的脸。母亲在这种水深火热的痛苦中,仍眷顾著儿子的心,对於被鞭打的事,完全没有一丝怨怼之情。这和那些当你是大富翁时,便来阿谀你,当你是一文不名的穷光蛋时,便不理睬你的世人比起来,是多么难得的温情,又是多么坚韧的决心呵!杜子春忘了老人的警戒,蹒跚奔至老马身边,双手环抱著濒死的老马脖子,泪珠涔涔地喊了一声:

“娘!”……6杜子春被自己的声音惊醒,回过神来,才发现自己仍然沐浴著一身夕晖,呆然地伫立在洛阳西门下。烟霞渺渺的天空,白色的月牙,川流不息的车水马龙……一切都和未到峨嵋山时一样。

“怎么样?你即使成为我的徒弟,也很难成为仙人吧?”独眼老人微笑著。

“不能。不过虽不能成为仙人,我反而庆幸自己没有成为仙人。”杜子春眼里依然噙著泪水,冲动地握住老人的手:

“即使能成为仙人,我在那地狱的森罗殿之前,看著父母苦捱著鞭打,我也是无法保持沉默的。”“如果你还保持沉默的话……”铁冠子突然很严肃地凝望著杜子春:

“如果你还保持沉默的话,我打算当下就断绝你的命根子……你大概已经不想再当神仙了吧。至於大富翁,你也早就厌腻了。那么,你以后想当什么呢?”“不管当什么,我都打算做个真实的人,过著真正的生活。”杜子春的声音,充满一种至今为止从未出现过的爽朗口吻。

“好,不要忘记你现在说的这句话。那,从今天起,我不会再跟你见面了。”铁冠子一边说著,一边跨开脚步,然后突然又停住脚步,回头望著杜子春,彷佛不胜愉快地抛下一句:

“喔,对了,我刚想起,我在泰山南麓有一间房屋。那房屋和田地都一起送给你,你马上去住吧。现在这个时节,那屋子四周,大概已开满了桃花吧!”——大正九年(1920)六月——MIYA译

 
 
 
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